前回の記事のつづきとして、オーガニック栽培を推進している農家を取材した。

【取材】株式会社なごみ 様

株式会社なごみは、兼業農家から開始した1次生産者だ。地元で建設業や土木業を始めて、水路の入れ替え工事や公共入札などを受注していた。株式会社なごみの釆野社長は、30歳くらいで地元の農業をなんとかしたいと考えていて、農業に本腰を入れた。そして、35歳で有機農業の道に進む。2.4haある面積の約1/3をオーガニック栽培に切り替えた。

「慣行栽培の米栽培では経営が難しい一方だと感じたんです。そしてなによりも、土が違うと、こんなにも米がおいしくなるのだと気がつきました」と釆野社長はこのように話す。

オーガニック栽培を始めた経緯とは?

釆野さん:「有機栽培の米は、育ち方が緩やかだと感じます。やはり、肥料タイミングなどが慣行栽培とは決定的に違うし、急激な生育がない。米を食べてみて、感動しました。」

有機栽培の米の魅力に、ご本人自身も驚いていたことが、最初のきっかけ。そして、ご自身で都内での販路を地道につくり、直販を行うと、それが好評だったそうだ。

生業の80%が土木・建設業で、20%が農業だったが40歳半ばでは割合が逆転。米粉のスイーツをつくるための6次産業化に挑戦することや、米粉の販売や菓子、麺などの製造にもトライした。

現在は、同じ地域で米栽培をするうねの農園(たまたま同名)と作業協力し効率を上げてオーガニック栽培に乗り出した。共同で耕す面積は2haほどに該当しており、全体では10haの米栽培を確立した。品種を問わず累計すると、オーガニック米だけで4.8tほどの収量となった(2022年実績)2022年のJAS認証を獲得しているのは1.2ha程となる。

釆野さん:「肥料は三重県の鶏糞を使い、除草剤を使わないので、草むしりの手間などの時間コストはありますが、おいしくて、高く販売できる上質な米になります。」

肥料については、鶏糞の元肥を1回のみ。農薬は不使用で除草剤も使用しない。滋賀県のゆめボカシを追肥として入れて害虫を中に入れないよう畦畔の草刈りもしっかりとしているそうだ。

また、お米がおいしくなるテクニックも教わった。

釆野さん:「水張りは、夜水を使うんです。水温が低いから。夜にゲートを開けて、朝に止めるようにする。そうすると寒暖差がついて、でんぷんをしっかり貯めてくれるんです」

昼夜の気温差で水温をコントロールすることで、おいしくなるようだ。慣行栽培の玄米コシヒカリは1俵(60㎏)あたり卸値で15,000円弱。ただオーガニックになると卸値は27,000~30,000円となっている(税・送料別)。

滋賀県庁に、農家として求めることは?

釆野さんは、「ターゲットの選定をもっと明確にするべきだと思う」と課題を語っていた。現在は、東京や三重県などのお米屋さんに直接卸販売をしており、沢山のバイヤーや事業者とも接点をつくっている。

「米どころと呼ばれる新潟県や関東近県の生産地は、どこに行っても農協や生産者の視座が高いです。正直、話している内容のレベルが違うと感じることすらある。だから、成功事例について他県を含めてたくさんの事例や取り組みを視察していただきたい。また、滋賀県も高い数値目標を立ててオーガニック栽培を広めていく“覚悟”が見えると、周りの農家もついてくると思います」と話していた。

例えば、驚いたことに、未だに一部の地域の取引では、単価契約をするのではなくて、量だけを契約して、出荷してからコメ単価がようやく決まることがあるそうだ。農家は言い値により左右されてしまう現状があった。これからのオーガニック栽培の課題として、官民連携のコミュニケーションも1つの重要な観点なのだろう。

上記は、『オーガニック近江米とあみえびの炊き込みご飯』。

編集部は料理が得意なわけではない。しかし、お米が美味しいだけで、普段の炊き方と同じでも、これほどまでに差が出るだろうか。オーガニックごはんの美味しさを改めて感じた。

さて今日は、もう1件ほど農家から話を伺うことになっている。次の記事では、同じくオーガニック農法で米を栽培する中道農園 中道唯幸社長から、オーガニック米への想いや課題、魅力を伺った。

→【取材】滋賀県のオーガニック近江米の課題と「環境こだわり農業」を深堀り #3へつづく

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THE SEAMLESS JOURNAL編集部

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