ライブハウスやダンスクラブが建ち並び、一挙に集中したラブホテル街の道玄坂の一角。『キクラゲと玉子炒め』のような、見た目は地味でも味わい深い料理が似合う裏渋谷の街なみ。『HARLEM』で踊り明かした大学生の頃の晩ご飯に、こんなお店が欲しかったな…。2021年6月にオープン。若い世代を中心に、連日ほぼ満席な店が、こちら。

こんな感じでクラブ街に、すごいレトロでかわいい、スナックを彷彿とさせる看板が…これが目印!

インテリアが 異色の酒場で独特な雰囲気と雑多な世界観。これが、銀座でも田園調布でも同じことはできない。道玄坂だから、マッチするセンスの良さ。

プロデューサーには、現在はうどん店や バーを営む今井洋さんとファッション 業界で活躍する添田慎也さん。 アパレル業界出身とファッション 業界出身のタッグというのが、個性的だ。

今井さんの長年の飲食店経営による手腕を活かしており、本格的!お店のスペシャリテの 焼売は、エビやラム、山椒など6種類。 各2個で500円未満でいただけるのがうれしい。

②中華×エスニック×渋谷

スターターで始めたのは『エスニック風の春雨サラダ』。
プリプリしたエビとピリ辛のエスニック風な味付けで食欲をそそる。

お次に来たのは、『白い麻婆豆腐』。
見た目とは裏腹に、あとから来る辛さが美味しいです!
ラー油の辛さというより、青唐辛子の辛さといえばわかるでしょう。

最後のつまみは、『真鯛のお造り』。
よいですよね、魚ちゃんと仕入れているんだなぁと。
中華やエスニック一辺倒でなく、飽きをこさせない工夫が日本人らしい。

半地下酒場のスペシャリテ!自家製の焼売がおいしい!

ラム、ピリ辛、ニラ、ベーシックなど…種類豊富で迷ってしまう焼売たちは必ず2個セットで、出てくるが、おいしすぎてペロリ!結局おかわりで違う味で、2種類追加。とはいえ、ボリュームがあるので、一気に頼まず、お腹と相談して追加すると便利。

そして何より一番気に入った点は、居酒屋系のドリンクだけだと思いきや、ナチュールワインが陳列しているところだ。よくある居酒屋のホッピーやビール、ハイボールみたいなお酒ばかりでなくて、ちゃんと美味しいナチュールワインが白、赤、オレンジと目白押しで選べる。これは、ズバ抜けてポイントが高い。「こうしたお店では飲めるものがありません」という方…

安心してください!置いてますよ。

編集後記

初回デートで、LINEでこの店を提案したら…。お相手は、何を思うだろうか(笑)Google MAPを見て、もしくは駅から歩いてる最中で胸に手をあてて「今日はワタシ絶対に飲みすぎないようにしよう」と、腹をくくる可能性は否めない。
でも、最初からそういうヨコシマな目的では決してなくて、期待を裏切らない焼売が待っていること。
自然派ワインが美味しいこと。ただ、あなたを喜ばせたくて、半地下酒場までお連れするのだと信じてほしい。

杞憂かもしれないが、不安はきっと相手にも届くし、誤解をも招く。お店のエリアについて、事前情報を伝えておくのは、果たして吉なのか。

情緒が少しだけ揺らいだお相手も、半地下酒場の美味しい料理に心を許して会話が弾む。雰囲気も良くなり「Shall we dance ?」で徒歩15秒でダンスクラブに勤しむことができる。はたまた、目と鼻の先に、2人だけの甘い時間へと誘うことができるのも事実…。

さぁ、試される。初デートに、もしこの店を選ぶとき。フォローをする言葉は伝えようか、伝えまいか? 2人の心理の半地下で起きている恋の攻防戦も、楽しみの一興だ。

誤解されてもよい。この店は、素敵です。

おみなえ

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『渋谷 半地下酒場』
東京都渋谷区道玄坂2-13-5 ハーベストビル 1F
03-6416-4631
16:00~翌 1:00 
金:~翌5:00
土: 15:00~~翌5:00
日・祝:15:00~~24:00
第2火 定休

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おみなえ

食空間プロデューサー/グルメライター/エッセイスト。心理学・行動経済学を飲食店や企業のマーケティングに活かすお仕事をしながら、「ルッキズム」や「人の利得の根源」について研究。趣味がグルメ、トレーニング。体脂肪率7%以下を維持しながら全国の素敵な店を巡る。著書に『広告コピーと100の物語』(大学教育出版)がある。学習院大学文学部 卒。

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